【FPが解説】医療保険に入っている人にがん保険は必要なのか?

がん保険

医療保険にはない保障に魅力を感じ、がん保険に重ねて加入する人もいます。

一体なにが違うのか疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

医療保険を見直す場合には保険料が高額となり、重ねて加入した方が安くなることもあります。

既に何らかの病気やケガなどをしているため医療保障を見直すことができない人にも人気があるがん保険。

がんのみ保障するタイプであれば条件などが付かずに加入できることも人気の理由です。

自分の身体や家族の生活などを守ってくれるものとして、加入している保険の中身を知ることが最初のステップです。

医療保険に合わせて加入する必要があるのかを迷っている方も、ポイントを抑えると自分で判断しやすくなります。

がん保険と医療保険、どこがどう違う?

もともと医療保険に加入しているのに、がん保険も重ねて加入する必要はあるのでしょうか。

ドコが違うのか気になりますよね。

保険金が給付される原因が違う

医療保険は幅広い傷病をカバーできる商品が多く販売されています。入院、手術によって給付金が下り、その原因をケガや病気など特定のものに限定しないものに加入されている方も多いのはないでしょうか。

それに対し、がん保険の対象となるのは「がんのみ」であることがほとんどです。3大疾病を保障するものもあります。

もともと医療保険に加入している人がそれを解約してがん保険のみとするのはキケンですね。

医療保険など生命保険に不足している保障を上乗せするイメージで加入する契約者がほとんどです。

入院給付金の支払い日数・通院保障が違う

医療保険に加入していても、入院給付金の支払われる限度が60日型、120日型、180日型など日数に制限がついているものがあります。

がん保険では日数無制限とする商品も多く取り扱われています。

また、通院保障の扱いも異なります。がんに対する治療では、入院、手術ののちに通院で治療がおこなわれるケースもありますよね。

医療保険では通院保障を取り扱っていない保険会社にも、がん保険に限っては通院保障を取り扱うことがあります。

治療に対する細かな給付の有無が違う

がんの治療でよく耳にするものとして、手術、放射線治療、抗がん剤治療などがあります。

広くおこなわれているため、周りにがんを患った人がいなくても、テレビドラマや映画、本などで目にしたことがあるのではないでしょうか。

それらの治療に対し、医療保険では主な給付型の保障として、入院した日数に入院日額を乗じた入院給付金、手術内容に応じた手術給付金、特定疾病に対する診断給付金や年金などの種類があります。

がん保険でもそれらの保障があるものはありますが、さらに下記のような細やかな給付がある商品は魅力的ですよね。

  • 放射線治療に対し、手術給付金以外にも60日に1回を限度に10万円や20万円など定額を給付するもの
  • 抗がん剤治療に対し、通算60ヶ月までなどを限度として月額10万円など定額を給付するもの

上記のような給付はがん保険であっても保険会社によって、通算限度の日数・月数や、定額給付の金額などバラバラです。

調べる際には、大きく分かりやすく書いてあるパンフレットやWebサイトの商品紹介ページだけでなく、注意喚起情報、契約概要、約款などの確認が必要です。

がん保険が必要な人と不要な人

生命保険文化センターがおこなった平成27年度の調査で、「世帯主の病気や交通事故などで長期入院などの際に期待できる経済的準備手段」なる項目があります。

その項目で60.3%を占めた最多の回答が「入院時に給付金の出る生命保険」でした。

参考:生命保険文化センター 平成27年度 生命保険に関する全国実態調査

自分が入院したら、と考えてみましょう。

はじめに支出です。

治療費は加入している健康保険組合によって高額療養費制度の自己負担限度額が異なります。限度額は収入によっても変わりますのでしっかり確認しましょう。

また、自分の入院に関わらず支払う必要のある支出が毎月どの程度あるのかも把握しましょう。

続いて収入について思い浮かべます。

毎月の収入がどの程度で、入院によってどの程度下がると予想されますか?

社会保障、預貯金など資産形成がどの程度進んでいるのかなども考慮します。また、加入している生命保険にどんな種類の給付金があるかも調べてみましょう。

はじめに出した限度額の自己負担と、支払う必要のある支出。自分の収入や資産、保険は十分だったでしょうか。

生命保険が必要な人は、さまざまなケースを想定したときに、入ってくるお金よりも出ていくお金が多い人です。万が一の死亡時はもちろんですが、入院や手術によってそうなる家計であることもあります。

子どものいる家庭だけでなく単身者でも減らせない支出が多い人はしっかりと自分の家計を見つめてみましょう。

逆に余力がありそうであれば生命保険でなく資産形成、運用などを始めるチャンスです。

保障が不足しているけれど保険料は増やしたくない、などのケースで有効なのはがん保険など疾病を限定した保険です。

自分が不安に思う部分にピンポイントで加入できる気軽さがあります。現在加入している生命保険には付いていない保障を上乗せする形で検討してみましょう。

がん保険を選ぶ場合のポイント

がん保険を選ぶときには、現在加入している医療保険、生命保険のことは必ず考慮しましょう。

また、自分の要望をできるだけハッキリとさせることで保険選びがグッと楽になります。

子どものいる家庭、単身者など家計の状況によっていろいろなケースがありますよね。

実際に相談を受けたケースと、案内したがん保険のポイントを紹介します。

結婚するかも?しないかも?でもがんへの保障は長く持ちたい

20代後半になって将来を考え始めたけれど、予想できること、予想できないことがあると相談を受けたことがあります。

結婚もそのひとつ。

配偶者や子どもがいるとなると、収入も支出も大きく変わり、必要な保障内容・保険金額が変わります。

結婚する予定はまだないけれど、がんへの備えはしておきたい人にはがん保険はピッタリです。

終身型で保険料が更新によって上がらないタイプのがん保険であれば、のちのち保険料が急激に上がって負担が増えるなどの事態を避けられます。

現在の年齢で加入した場合の保険料と、今後の保険料は必ずチェックしましょう。

がんを心配している頃に生命保険の更新時期が到来!

就職したころに10年更新型の生命保険に加入したまま……という人に多いのがこのケースです。

出産、マイホーム購入に車の買い替えなどで貯蓄が減り、支出は増えてくるころに、生命保険の更新時期がきてしまうことがあります。

生命保険、医療保険に加入したころよりも必要保障額は上がっているのに、同じ保障を得るためには保険料があまりに高くなってしまう、などの場合には別の保険会社で新しく保険に加入することも1つの手です。

そこまでではないが、がんが心配になってきた人で、3大疾病に対する保障額を上げることや維持するのは保険料が高くなりすぎる人もいますよね。

そんなときは、生命保険や医療保険とは別建てでがん保険を検討してみましょう。

定期型のがん保険では終身型よりは低廉な保険料で、必要保障額が上がる時期のみ保障を上乗せすることもできます。

保険を解約、減額する人の理由として、保険料が負担になってきた、という声がほとんどです。

しかし年を重ねるほどに不安になるのが「がん」ではないでしょうか。

だからといって、がん保険だけに絞るのは危ない賭けになってしまいます。上手に組み合わせるのがコツです。

がん保険に入る場合の注意点

がん保険に入るとき、注意すべき点がいくつかあります。

補償されると思い込んでいたら保障の対象外だった、といったことは避けたいものです。

特に保険会社によって異なる部分にはよく注意しましょう

いくつか見ておきたいポイントを挙げていきます。

上皮内新生物は含まれる?

がん、といっても悪性新生物と上皮内新生物で扱いが異なる保険商品もあります。

診断給付金など各給付金の金額が変わってくることもあるので、必ずチェックしましょう。

上皮内新生物は、臓器表面を覆う上皮内に腫瘍細胞がとどまっている状態で、基底膜を破壊していないものを指します。

基底膜を超えても粘膜内にとどまっているものなどもあります。

上皮細胞にとどまらず基底膜を超えて間質細胞に浸潤しているもの、大腸などで基底膜と粘膜を超えて粘膜下層まで浸潤したものなどは、悪性新生物と呼ばれます。リンパ液、血液により転移の可能性があります。

この「転移の可能性」は、生命保険・医療保険・がん保険などで悪性新生物と上皮内新生物の扱いが異なることの理由のひとつです。

保険会社・商品によって、保険金額や内容などは違いがあります。

  • 悪性新生物のみ保障し上皮内新生物は保障の対象外とする
  • 悪性新生物よりも少ない保険金額となるが上皮内新生物も保障する
  • 悪性新生物も上皮内新生物も同額の保険金額で保障する

保険料が手ごろ、高いなどに関わらず、商品内容をしっかり見ましょう。

がんになっても保険料を払う?免除される?

がん保険なのだからがんと診断された以降は保険料を支払わなくてよくなる……とは限りません。

保険会社によって大きく異なる部分です。毎月の保険料が免除されたままで保障が続くのはがんに罹患した人にとっては助かるものです。

罹患したけれど解約金が手元に必要となって保険を解約する、といった人もいます。加入するときにはしっかり検討しておきましょう。

  • 約款規定の高度障害状態、要介護状態による保険料払込免除のみ
  • 上記に加え、悪性新生物など「がん」と診断されたら保険料払込免除となる商品
  • 「がん」と診断されたときの保険料払込免除は特約として扱い、任意で付加する商品

保険料払込免除には上記のような種類があります。上皮内新生物の取り扱いも併せてチェックが必要です。

診断給付金は上皮内新生物も悪性新生物も同額だけれど、保険料払込免除は悪性新生物のみとする保険会社も多くあります。

似ている名前でも違う?入通院など保障の給付金額

がん保険は多くの保険会社が取り扱っているため、「がんの治療のための入院」「がんの治療のための通院」などの記載は同じであっても給付される金額の差が大きいことがあります。

給付される金額の基となる金額をどのように出すのかによって異なるのです。

たとえば入通院による保障も特約の名称は似ていても金額には差が出ます。

日額給付による保障

入院日額、通院日額など日額に日数を乗じたものが支払われるタイプ。

入院保障は日数無制限で通院保障は日数制限ありといったもの、通院保障は入院要件ありのものなどがある。

入院して数日までは一律で支払いそれを超えれば日額給付、などもある。

実費補償

公的医療保険による診療や自由診療などでかかった費用の実費を補償するタイプ。

入院保障は金額無制限で通院保障は1,000万円までなど限度額をもうけているものもある。

定額給付

支払い事由に該当した場合に一律で定額が支払われるタイプ。

10万円、20万円など予め決まっていた金額とするもの。

上記のような入通院への保障と診断給付金の種類は、受け取る保険金にも支払う保険料にもダイレクトに関わってきます。毎月支払う保険料をふまえつつ、自分が好む保障はどのようなものかをハッキリさせて保険を選びましょう。

医療保険を知ってがん保険を選ぶ

いろいろなところで目にするうえに、生命保険会社、損害保険会社、各種共済少額短期保険会社などさまざまな保険会社で取り扱いがあるがん保険。

上皮内新生物の取り扱い、保険料払込免除の条件、保険金額の基となる考え方などさまざまなものが保険会社、保険商品によって異なります

支払える範囲で最もよい保障・補償にしたい、と考えるのは誰しも同じです。よく考えて選ばなければ大きな違いを生みかねません。

まずは加入している医療保険の保障内容をしっかり知るところから始めましょう。

毎月の収入と支出を把握し、保険の内容を差し引きしてみることも大切です。

生命保険、医療保険はもちろんですが、働き方によって社会保険の加入状況も変わります。

不安なことがらに対し、不足しているものを備えるのが保険の役割です。自分が加入している「保険」と名の付くものを調べてみましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

保険外交員歴10年を経て保険ライターとなりました。 FP資格で得た知識と、それを活かした営業経験をもとに生命保険、損害保険のことを伝えていきたいと思っています。