【書評】強父論 | 阿川 佐和子

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目次と要約

テレビ番組「サワコの朝」やベストセラー『聞く力』などで知られる阿川佐和子が、2015年94歳で亡くなった父阿川弘之について書いた本です。

世間一般の作家阿川弘之のイメージとは全く異なり、横暴でわがままで、如何に作者やその家族たちが幼い頃からヒドい目に遭わされて来たかが綴られています。

誕生日会は禁止、口答えをしようものなら怒り狂い、入院をしてもやれワインだすき焼きだと、と今では絶滅危惧種の怖い父親像が描かれ、まさに『強父論』です。

【主な内容】
第一章 立派な老衰
・一に妻子を養うため、二にいさかかの虚栄心のため
・老人ホームに入れたら、自殺してやる!
・母さんとは別々に死ぬのか
・俺の話をちゃんと聞いてろよ
第二章 父とわたし
・結論から言え、結論から
・なんという贅沢なヤツだ!
・今後いっさい、誕生日会を禁止する!
・糠味噌を嫌がらないのはいいことだ
・のたれ死のうが女郎屋に行こうが勝手にしろ
・勉強なんかするな。学校へ行くな
・お前は俺にそっくりだ
・まともな人間になりたければ、本を読め
・戦後教育が悪いからバカが育つ
・ライザ・ミネリが好きなのか?
・大学でサムシングを学んでこい
・お前がくれた耳かきは最高だった
・こんな娘がニュース番組の役に立つのか?
・朝日の手下になりやがって
・「だった」を三回も続けるな
・知ったかぶりをした文章を書くな
・立ち上げるという言葉を使うな
・俺が便所へ行くと、必ず誰かが入ってる
・結婚か? 同棲か?
・これで一食、損をした
・バターはケチケチ使うな
第三章 父と母
・この草履を切り刻んでやる
・これでもウチはまともなほうだ
・こっちにいれくれなきゃ困るじゃないか
・頼むから俺より先に死なんでくれ
第四章 最期の言葉
・お前の名前はお墓から取った
・三味線にしちまうぞ!
・書けない苦しみを乗り越えることが大事だ
・俺は我慢するのをやめる!
・俺はもう、死ぬんじゃないかと思う

※文藝春秋Books 引用

阿川佐和子からみた阿川弘之

阿川弘之といえば、女性の私には少々とっつきにくい本を書いている文豪のイメージがありました。

そして、阿川佐和子といえば、その軽いタッチのエッセイやテレビ番組でおなじみで親しみのある面白いキュートな方という印象です。

佐和子の父親が阿川弘之ということは知っていましたが、まさかこんなヒドい父親だったのかと驚きの連続でした。

普通、著名な父親が亡くなった後は、その功績やいかに素晴らしい人だったのかと讃える文章を目にする事が多いのですが、この本は真逆です。

ただ、父親の暴挙を決して、恨みつらみを言ったり、けなしたりということはなく、佐和子は愛情たっぷりに書いています。

家を追い出され、裸足で家出した等々、よく考えると相当あり得ない話の連続ですが、佐和子お得意の軽妙なタッチで書かれ、吹き出しそうになりながらあっという間に読んでしまいます。

お父さんのことが好きだったんだろうな、と佐和子の弘之に対する尊敬の念も文章のそこかしこに感じられるため、嫌な気持ちになることなく、心地よい読後感を味わえると思います。

また、美味しいもの好きの父親だったため、よく食事の場面や食べ物のことが出てくるのですが、大変美味しそうにレシピ付きで書かれているのでトウモロコシの天婦羅や鰹節ご飯など自分でも作って食べてみたくなりました。

昭和の家庭の温かさを思い出す!

阿川佐和子が好きな人はもちろんですが、阿川弘之の著作に親しんで来た人にもぜひ読んでもらいたい一冊です。

阿川佐和子のトラウマとも言える父親に対しての怖れに少々びっくりするかもしれませんが、逆に阿川弘之という文豪の人間らしい魅力を再発見できます。

阿川佐和子自身既に還暦を過ぎていますが、父親の前ではやはり子どもは永遠に子どもで親にとって子どもはいつまでも子どものままなんだなあ、と改めて思います。

大人になって、親との関係が変わってしまったり、逆に今自身の子どもとの関係に頭を悩ませている方々は、きっとこの本を読むと「自分の悩みなど、全くたいした事はないのではないか」と笑い飛ばせるようになるのではないでしょうか。

阿川家の様子は昭和の昔のことのように感じられますが、二人の父娘の間で起った様々な出来事、また家族内でのやりとりからは、ネット社会の今の時代に失われてしまったものがあることを、ふと私たちに思い出させてくれるかもしれません。

また、ひたすら文章が面白いので、深く考えず、単に楽しむために読むのもおススメです。

家族がいようがおかまいなしで食卓で豪快におならをする阿川弘之のおなら症状の話など、読んで笑ってストレス解消になること間違いなしです。

書籍の紹介

登録情報
単行本: 268ページ
出版社: 文藝春秋 (2016/7/29)
言語: 日本語
ISBN-10: 4163904913
ISBN-13: 978-4163904917
発売日: 2016/7/29

ABOUTこの記事をかいた人

ロバート 前田

人材派遣を学生時代から始めたのをキッカケに、人生相談を12年で1万人以上の人たちから受けています。 現在、 お金を守る、 お金を殖やす、 お金を稼ぐを テーマにLTV(生涯支出) とどこまで向き合えるのか?! をテーマに日々精進しています。